また、メニュー表も冊子状に改良して、掲載する飲食物の表示を全体的に大きくした。ドリンクメニューをめくると、見開き1ページかけて、ビールの提供方法や日本酒の生産地の歴史がつづられている。フードメニューも同様、1ページにわたり焼売や煮込みの写真がシズル感満載に掲載され、味付けや調理工程のこだわりが記載されている。

看板ではあえて破格であることを隠し、メニューでは誌面を割いてこだわりを伝える――。刷新の背景には、“安かろう悪かろう”という先入観からの脱却と、表からは見えづらい企業努力が伝わってほしいという意図が隠れている。
以前、さくら水産を取材した際も、過去に提供していた500円ランチの格安さが強烈ゆえ、高価格帯路線に踏み切ると客離れが発生したという逸話があった。
一軒め酒場も同様に、一度リーズナブルな業態として認知されてしまえば、ブランドイメージの上書きは難しい。企業としては日々、調理技術を凝らしているにもかかわらず、旧態依然のまま映ってしまうのはもったいない。
「外観やメニューからわかりやすく発信して、日々ブランドが生きていると伝える必要があった」と谷酒氏。結果的に、リブランディングを行った翌2023年には、売り上げが前年比140%近くまで上がった店舗も見られた。
コロナ禍を経て構造改革を進める老舗企業
総括すれば、コロナ禍以降、養老乃瀧グループは大きく体制を変えている。
元々は総合居酒屋を主軸に発展してきた同社は、近5年でコントラクト事業に肩入れを続ける。そして新事業で得た知見が、居酒屋業態の料理のクオリティを底上げし、一軒め酒場のリブランディングにも貢献した。
消費者からすれば、「養老乃瀧グループ=風化した老舗企業」と捉えがちだが、企業内部の努力は見えづらいものだ。居酒屋業態の草分け的な存在として知られる養老乃瀧グループだが、裏側では構造改革と成長の芽が着々と育っているのだ。
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