アメリカ民主党はトランプ独裁との戦い方を学べ/「政策ごとの連携」では支持者は離れるばかり/民主主義を守る論陣はいかに可能か?
予算不足からアメリカ連邦政府機関の多くが閉鎖となる中、ワシントンの責任転嫁合戦は過熱し、ジャーナリストらは政治的な勝者の予想に明け暮れている。
だが、より有益なのは、過去20年にわたる世界的な民主主義の後退、いわゆる「民主主義不況」の教訓を考えることだろう。最近の歴史は、独裁志望者に対処するには、ほかよりもはるかに効果的に機能する戦略があることを明らかにしている。
アメリカの民主党が抱える最も大きな問題の1つは、自らの支持層の間ですら極めて不人気なことだ。
民主党幹部はトランプ大統領とその子分を「ファシスト」と呼んだかと思えば、次の日には、現実的な課題について党派を超えた打ち解けた振る舞いを見せたりしている。民主党幹部のメッセージは一貫しないと支持者が感じるのは、もっともなことなのだ。
政治が通常の状況なら、政策の対案を示し、議会で政権の責任を問うことが野党の仕事となる。イギリス議会の「首相への質問」の中で勃発する「言葉を使った果たし合い」は、そうした模範の1つといえよう。
「正規の手続き」で民主主義を切り崩すトランプ
しかし、今のアメリカ政治は普通の状況にはない。トランプは、すべての独裁志望者がそうであるように、自分が将来、権力を失わなくてすむように制度に変更を加え、市民社会を威圧し、政敵を攻撃し、特定の人々に向けた怒りを焚き付けている。
このような振る舞いは、単に規範を侵食するだけではない。われわれが直面しているのは、学者たちの言葉でいう「独裁的な法律尊重主義」だ。
これは、立憲体制を切り崩し、力の集中を進めるために、正規の手続きで制定された法律を利用するものだが、実際の状況はもっと悪い。大統領2期目のトランプはもはや法律順守の見栄えを保つことすら気にかけてはおらず、法律破りに堂々と手を染めるようになっている。



















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