それ以降は、リーマンショックによる不景気、働き方改革による宴会需要の減少、コロナの流行など逆風が重なり、看板の灯は消えていく。現在は、全盛期の約10分の1にあたる、180店舗近くにまでスケールを落とした。
第1号店の開業から約70年。かつて居酒屋チェーンとして、店舗数1位にまで繁栄し、そして大量閉店のあおりを受けた変遷は、時流を反映した興亡譚とも言える。
“新旧”養老乃瀧の驚くべき違い
ただ、気になるのは、浮き沈みを経験した現在の姿だ。そこで2025年7月末に「西荻窪店」と「新宿西口店」を訪れると、“新旧”養老乃瀧の違いが浮き彫りとなった。
まずは旧型、思い出横丁の一角に構える「新宿西口店」をのぞいた。戦後直後の焼け野原に露天商として発展してきた思い出横丁は、いまなおノスタルジックな面影を残す。そうした風情ある路地裏の街並みに溶け込むように、赤地に「養老乃瀧」と書かれた看板が目をひく。

2フロア53席の木造店内は、テーブルの塗装が剥がれ、有線からは歌謡曲が流れるなど、いかにも年季を感じさせるたたずまいだ。メニューも串や刺身など定番どころが並び、場所柄も後押しして昭和のレガシーが色濃く残る。

雰囲気に合わせ、「麦の水割り(税込490円)」に、「山芋の短冊揚げ(税込460円)」「子持ちししゃも(410円)」「エイヒレ(430円)」を頼む。味はどれも価格相当といった所感だ。
来店客を見回すと、客層も幅広い。カウンターには50~70代の単独男性が、テーブル席はインバウンドや仕事帰りのリーマン層が席を埋める。様子を伺うと、おおむねどの卓も、矢継ぎ早にメニューを頼むというより、数品の肴で杯を重ねる光景が目立つ。飲食のクオリティうんぬんより、仲間内でコスパ良く盛り上がる、あるいは憩いの場として来店が習慣化している層が多い印象だ。
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