ただ、その“普通”の中身を詳しく聞いていくと、「年齢はプラスマイナス5歳まで。年収は、自分が700万円なので最低でも600万円は欲しい。あまりにも低いと、お相手を尊敬できないですし。あと、今の仕事を続けたいので、遠方の方は難しい。見た目はこだわらないけれど、清潔感は大事ですよね」と、実際にはかなり明確な絞り込みがされていた。
そして、婚活サイトに登録してみると、彼女が想定していた“普通の人”からの申し込みは、かからなかった。年収がいいと年齢が50代、年齢が近かったり年下だったりすると年収が少ない。そんな状況にため息をつきながら、言った。
「アラフィフからの申し込みが多いので、びっくりしています。やっぱり男性って、自分よりずっと若い女性を求めているんですね」
また、実際にお見合いに出向いて、写真と実物のギャップに驚いていた。
「今日来た方、お写真とまるで別人でした。あれは20年前の写真ですよ」
また、住む場所についても……。
「年収をこちらが譲歩しているのに、『住む場所は自分の職場の近くがいい』って、なぜ上からの発言ができるのでしょうか」
お見合いや仮交際がうまく進まない日々が続くと、あけみは次第に不満が募っていった。
「私も写真を撮り直します。なるべく若く見えるように修正した写真を使いますよ。向こうがその気なら、こっちだってやってやりますよ!」
「向こうがその気なら」という言葉に象徴されるように、あけみの中で婚活は次第に“戦い”になっていった。 相手を敵視し、強い言葉で相手を批判するようになった。そして、活動開始から半年後、彼女はこう言って退会していった。
「私が結婚したいと思えるような人は、結婚相談所にはいないとわかりました」
「選ぶ側」の姿勢で婚活
こうしたケースは、女性に限った話ではない。
のりお(仮名、42歳)は大手企業に勤務し、年収は1200万円。プロフィールだけ見れば、間違いなく“モテ枠”にいる男性だった。実際、お見合いの申し込みはたくさん来た。
だが、交際に発展するケースは少なく、ほとんどが初対面でお断りされることが多かった。理由は、女性たちの声に集約されていた。
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