ケータイの電磁波は健康に悪影響なのか--初の全国シンポジウムが開催
3月24日、携帯電話基地局が出す電磁波が原因とみられる健康被害を報告するシンポジウム「もう一つのヒバク 携帯電話基地局の健康被害を考える」が東京都内で開催され、220人が参加した。
全国各地の住民が集まるシンポジウムが開かれたのは今回が初めてで、電磁波の健康影響を多くの人に理解してもらおうと開催された。シンポジウムでは、沖縄市や横浜市、福岡県など6地区の住民が睡眠障害等の健康被害を訴えたほか、健康調査を実施した医師らもこれまでの実績を報告した。
福岡県太宰府市で、基地局設置後の周辺の小学校の児童の健康被害を調査した近藤加代子さんは、耳鳴りやめまい、胸痛や動悸などの症状の増加を報告。近藤さんは「携帯会社は情報開示に消極的。だが、規制の強化が産業の衰退につながるわけではない。かつて排ガス規制によって環境技術を進化させた自動車産業の例もある」と問題提起した。
電磁波が原因の健康障害は「電磁波過敏症(EHS)」としてWHO(世界保健機関)が公式に認定している。EHSの主な症状は不眠等の睡眠障害、頭痛、めまい、倦怠感、動悸、吐き気など多岐にわたる。ただ、携帯電話から出る電磁波と健康被害の因果関係は明らかになっていない部分も多い。
携帯大手3社は全国に基地局をそれぞれ10万局以上に設置。現状、基地局の建設には特別な許認可は必要ない。建設前の住民向け説明会開催も、通信会社の監督官庁である総務省は携帯会社の任意としている。
通話品質向上の観点から基地局の数は増加傾向だが、一方で全国的に建設反対や操業差し止めを求める運動が広がっている。大手通信工事会社の関係者によると「景観悪化、電磁波による健康影響への懸念を理由に建設を反対する住民は増えており、10件に1件は建設計画の中止や代替地を必要とする」状態だという。