「歌を聴いていると気に障る」「暗いヤロウだ」とアンチが湧いた過去…それでも《さだまさし》が「1兆人に1人の存在」と絶賛されるワケ
作家の安岡章太郎からは、初対面で「俺はお前が嫌いだ。お前の歌を聞いていると気に障ってしょうがない」と散々言われた挙句、「小説を書け」とすすめられ、井伏鱒二に紹介されたというエピソードがある。安岡先生、究極のツンデレである。
さだまさしの歌は、気に障る。「気に障る・カンに障る」は「琴線に触れる」と背中合わせなのかもしれない。

相手が気絶するまで話し続ける
素のさだまさしは暗いどころか、とんでもなく明るくパワフルだ。
実はスポーツ万能、中学校では器械体操部に所属し、若い頃はコンサート前、緞帳の裏で逆立ちをして緊張をほぐしていたそうだ。1曲歌い終わるごとに「ああ……」とフラフラいすに倒れ込んでいると思っていたのに、ビックリである。
おしゃべりも、「落語家より面白い」と広く認知されている。しかも、周りが心配するほどの持久力だ。前述した『うらさだ』で、立川談春は「あの方、相手が気絶するまで話し続けるところがあるから」と語っている。
そういえばグレープのコンサートでも、吉田政美が「(話してばっかりで)時間、大丈夫なの?」と何度も聞いていた。
永六輔さん、淀川長治さんと同じ誕生日(4月10日)というのも興味深い。おしゃべりの運命(さだめ)を持った日なのかもしれない。
トークでもよく話題にあがるのが、借金。さだまさしが28歳のとき、1981年のドキュメンタリー映画『長江』の制作で、28億円の借金ができてしまったのは有名な話である。
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