星野リゾート、1泊10万円の東京旅館に描く夢 「星のや」が、あのリッツを超える日は来るか
当時、日本のホテル業界はバブル景気を背景に、日航ホテル(当時)が世界各地にホテルを開業し、旧セゾングループがインターコンチネンタルホテルを買収するなど、積極的に海外進出を行っていた。ただ、バブル崩壊をきっかけに海外展開は減速していった。
星野氏は過去に東洋経済のインタビューで、日系ホテルの失敗の要因として「海外の大手チェーンに規模で勝てなかったこと、観光客に日本ブランドのホテルに泊まる理由を明確に提案できなかったこと」を挙げている。
現地には、すでに一流の高級ホテルが存在する。そこに西洋のスタイルをまねた日本のホテルが参入しても、顧客に日本らしさを訴えることができない。
星野氏が思い至った"成功の条件"
星野氏は米国で日本のホテル進出にかかわりながら、現場でその”失敗”を目の当たりにした。以降、「日本の文化を反映したホテルこそ“日本旅館”。そこにこだわらないと海外で成功しない」との考えに達した。
その後、星野氏は1989年に帰国し、1991年に家業の星野温泉を継いだ。星野温泉を大きく成長させ、その後も経営不振に陥った旅館の再生や高級リゾートの開発に成功。テレビや雑誌などメディアに取り上げられ、有名経営者の仲間入りを果たした。
2013年には「星野リゾート・リート投資法人」を東証REIT市場に上場。REITに運営物件を売却し、それによって得られた資金を新たな物件の取得に充てる体制を整えた。現在は国内に34のホテル・旅館を展開し、受託施設を含めたグループの取扱高は392億円に達している。
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