星野リゾート、利便性重視のホテルに初進出 過去最大の投資で4施設を獲得

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これまでとはコンセプトの違うホテルを手掛けることを決めた星野社長(撮影:梅谷秀司)

全国でリゾートホテルや温泉旅館を展開する星野リゾートグループが次に目を付けたのは、これまでとはコンセプトが異なる、地方都市のシティホテルだった。

同社は7月27日、IHG・ANA・ホテルズグループジャパンが展開する「ANAクラウンプラザホテル」4施設(金沢、富山、広島、福岡)を取得すると発表した。

金額は追加投資を含めて約400億円にのぼる。これまでも国内外のホテルに積極的に投資してきた星野リゾートだが、今回は「過去最大」(同社広報)の額。大半は借入金で賄う。 同社の事業規模(星野リゾート・リート投資法人によると、2014年11月期で営業収益250億円、経常利益14億円)から見ても大きな投資だ。

4施設の不動産の所有と経営を行ってきたホライズン・ホテルズの株式は、これまで米金融大手モルガン・スタンレー子会社の投資ファンドが所有していた。星野リゾートはこの全株式を取得する。運営は従来通りIHG・ANAホテルズグループが担い、ホテルの名称も現時点で変更の予定はない。

これまでは非日常感を重視

ANAクラウンプラザホテルは旧全日空ホテルが多く、4月時点で全国17カ所に展開している。2005年頃から、全日本空輸(ANA)は航空事業に経営資源を集中させる過程で、一部ホテルの不動産や経営権をモルガン・スタンレーに売却したり、世界最大規模のホテルチェーン、インターコンチネンタルホテルズグループ(IHG)とホテル運営のための合弁会社を設立したりしてきた。

軽井沢にある星のや

星野リゾートが現在運営している高級ホテル「星のや」やリゾートホテル「リゾナーレ」、高級旅館「界」は、非日常的で上質な空間作りをコンセプトとしてきた。だがANAクラウンプラザホテルは、星野リゾートが手掛けてきたこうしたラグジュアリーホテルではなく、いわゆる「シティホテル」に分類される。市街地へのアクセスがよく、宴会場などを備え、レジャーやビジネスに使える利便性の高いホテルだ。なぜいま、こうした新しい分野に進出するのか。

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