カナダ競合がセブン&アイの買収撤回で、両社は非難合戦を展開・・・セブン社内に楽観ムードはなく、次なる焦点は新中期経営計画と株主対応

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セブン&アイ経営陣は昨年以降、独禁法をクリアできるか不透明な提案は受け入れられないと述べる一方、単独路線でも企業価値、株主価値を高められると示すため、改革を急いできた。

買収提案が明らかになった数カ月後には、ホールディングス設立以来の課題であった祖業、イトーヨーカ堂について、持ち株の過半数をアメリカの投資ファンド、ベインキャピタルに売却すると公表。今年3月には2031年2月期までに累計2兆円の自己株式を取得する方針も打ち出した。

それでも株価は鈍かった。NDA締結前の2025年1月時点で、クシュタールが1株2600円での株式公開買い付け(TOB)を提案していたのに対し、7月16日終値は2210円。撤回が伝わった翌17日には同2007円まで売られた。

8月の中計発表時に何を語るか

足元では、5月に始動したデイカス体制による新たな中期経営計画の公表を8月に控え、詰めの協議が進められている。

セブン&アイのスティーブン・ヘイズ・デイカス社長。写真は2025年3月の会見時のもの(撮影:尾形文繁)

しかし、セブン銀行を6月に連結対象から除外。9月にはヨーカ堂や外食といったその他の非コンビニ子会社の株式保有比率引き下げも控えており、課題だった構造改革はほぼ完了している。これまで小出しにしてきた「事業整理」のカードはもう使えない。

今度こそ、本丸であるコンビニ事業の立て直し策が問われるが、市場の評価を一変させる「ウルトラC」があるとは考えにくい。8月の中計発表の場で、デイカス社長は何を語るのか。セブン&アイ経営陣が胸をなで下ろしている時間はない。

本記事の詳報版は、東洋経済オンライン有料版記事「カナダ競合がセブン&アイの買収撤回、外資からの買収危機を乗り越えたと思いきや、社内に楽観ムードはなし・・・次の焦点は新中期経営計画と株主対応」でご覧いただけます。
冨永 望 東洋経済 記者

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とみなが のぞむ / Nozomu Tominaga

小売業界を担当。大学時代はゼミに入らず、地元密着型の居酒屋と食堂のアルバイトに精を出す。好きな物はパクチーと芋焼酎。

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