「15分から勤務OK」「出退勤自由」愛知・春日井の《働き方が自由過ぎる》カフェに人が集まる理由とは?きっかけはオーナー自身の子育て経験

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「お給料をいただくと逆にプレッシャーになってしまうので、ボランティアとして働かせていただきました。自宅から店までは電車とバスを乗り継いで1時間半くらいかかりますが、これも外へ出る練習だと思いました」(24歳女性)

勤務は週1、2回、11時の開店から閉店の17時まで。小栗さんから与えられ仕事は、食器の準備や料理の盛り付けなど調理補助だったが、ランチタイムの忙しい時間帯には客席に料理を運んだこともあった。

「長い間、家にいて人との接し方がわからなくなり、ずっと人が怖いと思っていました。でも、お店へ行くたびに私自身が成長していると実感しました。小栗さんやお店で働いている方がほどよい距離感で接してくださったからだと思います」(24歳女性)

その後、彼女は自信を取り戻し、地元のスイーツ店でパティシエ補助のアルバイトをはじめた。さらに今年4月からはグラフィックデザイナーをめざしてデザインの専門学校へ通っているという。まさに「ワンぽてぃと」というとまり木から大海原へ飛び出したのである。それも大きな希望を抱いて。

「これまで28人のとまり木さんたちが就職したり、別のアルバイト先を見つけたり、復学や進学をしたりと、ここを卒業していきました。近年、“子どもの居場所”という言葉をよく耳にしますが、ある程度の年齢になったとまり木さんたちが求めているのは、居場所ではなく、自分を必要としてくれる場なんですよね」(小栗さん)

15分雇用を採用してくれる職場を増やしたい

小栗さんが地元の新聞の取材を受けて、記事がネットで拡散されると、ひきこもりの当事者や家族、支援団体から問い合わせが相次いだ。

現在、パート従業員2名のほか、15分雇用の若者2名、研修生5、6名が交替で勤務しているが、15分雇用や研修生の空きを待っている人が何十人もいるという。

「ひきこもりの子どもを持つ親が仕事について役所へ相談に行くと、就労継続支援のA型やB型の事業所を勧められることもあるようです。彼らは障がいを持っているわけではありませんから、行政では対応できないんです。15分雇用を採用してくれる職場を増やすことが急務であると思っています」(小栗さん)

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