「歯科衛生士が31名の大陣容!」治療から予防へ重点《歯のサブスク》を仕掛けた歯科医院が凄すぎた
しん治歯科医院の年商8.3億円のうち、おおまかな内訳は治療3.3億円、予防2億円、訪問歯科3億円である。収益の半分以上を予防と訪問で計上する。冒頭、歯科医院とは思えないほど明るい雰囲気だと触れたが、仕方なく歯を治しに来るのではなく、歯の健康を求めて予防をしに来る人がたくさんいるため、重い雰囲気に包まれていないのだ。
「我々は、予防を“デンタルフィットネス”とうたっています。歯科医療の専門家として、治療の技術を有していることはもちろんですが、病気を発症させない方法も知っています。であれば、私たちが病気を発症させないために何ができるかを考え、それを実践していくことこそが、本当のニーズではないかと考えました」(髙橋理事長、以下同)
痛くない治療ができる、素晴らしい治療で治せるといった治療実績は、すでに困っている人にはありがたい情報だろう。しかし、多くの人にとっては、そもそも「そうならない」ための知識や情報が知りたい。歯が健康であれば、咀嚼する力が維持され、脳の活性化にもつながる。ひいては、健康寿命にも――。開業した1990年、しん治歯科医院は、それを叶えるべく動き出す。
「開業時は、デンタルチェア3台から始まりました」
今でこそ大型医院に成長したが、始まりはどこにでもある小さな歯科医院に過ぎなかったと笑う。

予防の重要性を説き続ける
「当時、予防歯科は一般的ではないため、『予防をしましょう』と伝えてもなかなか理解されません。そこで、私は子どもたちから理解を深めようと考えました。親御さんは、自身が虫歯で困った経験から、『この子にはそういう思いをさせたくない』と考え、検診などで歯科医院を訪れます。最初は、草の根から始めたことでした」
休み時間を利用して、少人数のお母さんたちに歯の大切さを説明し続けた。次第に、予防の重要性を理解した大人たちも、興味を示すようになったという。
「予防を続けてもらう際、私たちが心がけたのは、“良いところをほめる”というアプローチです。来院されたら、『ここができていないです』と欠点を指摘するのではなく、『奥歯がとても上手に磨けています』など具体的にほめる。そうすることで、患者さん自身が『もっとやりたい』と思うようになります。継続させるには、自分自身の内側から湧き出る“やりたい”という気持ちである『内発的動機付け』が欠かせません」
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