「40代の8割が歯周病」から逃れたい人の金科玉条 口内環境の悪化は、3大死因や認知症に関与

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3カ月に1度程度は歯科に通うと万病の予防になる(写真:ペイレスイメージズ1(モデル)/PIXTA)
今年6月に政府が閣議決定した「骨太の方針」に盛り込まれたことで注目されている「国民皆歯科健診」。現時点では、「健康診断などの際に唾液を採取し、検査する」といった方法が検討されているとの話もあるが、開始時期なども含めて詳細はまだ明らかにされていない。しかし、なぜ今「歯の健康」にスポットが当たるのか。「医科」と「歯科」が連携して診療にあたる「医科歯科連携」を進め、『認知症専門医が教える! 脳の老化を止めたければ歯を守りなさい!』などの著書を手掛ける認知症専門医の長谷川嘉哉氏に聞いた。

口内環境の悪化は3大死因すべてに直結する

「国民皆歯科健診」によって、国民全員が毎年歯科健診を受けるという方針が決まりつつあります。長年、大人の定期的な歯と口腔内検査の必要性を説いていた私の率直な感想としては「ようやく国も乗り出したか」というところ。ですが、これで安心していてはいけません。あえて言いましょう、「そんな『歯科健診のお知らせ』など破り捨ててしまえ!」と。

そもそも、なぜ「国民皆歯科健診」が検討されているかというと、歯の健康を維持することで全身疾患の誘発を予防し、国の医療費全体を抑制する狙いがあるためです。

つまり、“歯や口腔の健康状態は、体の健康状態に直結する”ということを前提にした話なのですが、そのあたりの理解があまり浸透していないようにも思われますので、ここで簡単に説明しましょう。

具体的には、口内環境の悪化は「心筋梗塞」「脳卒中」「糖尿病」「誤嚥性肺炎」といった病気を誘発することが明らかになっています。最近は「ガン」にいたるまで歯周病が影響しているといわれていますので、日本人の3大死因すべてにかかわるということになります。

さらに、認知症のリスクをも高めることもわかっています。その大きな原因となるのが、歯周病菌。口腔内細菌の一種である歯周病菌の影響でつくられる炎症物質「サイトカイン」が血管を通じて全身に運ばれることにより、動脈硬化が進行したり、インスリンが効きにくくなったり、脳に「アミロイドβ」というゴミが溜まって脳細胞が死滅するなど、実にさまざまな全身疾患を引き起こす原因になるのです。

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