セブン&アイ買収頓挫、金融機関が見込んだ巨額の手数料収入も幻に
買収断念の報道を受け、17日の東京市場でセブン&アイの株価は一時9.6%下落した。
セブン&アイは、クシュタールの決定に遺憾の意を表明し、引き続き独自の企業価値創出計画に注力し、業務改善に取り組んでいく方針を示した。
日本では近年、企業統治の強化や株主還元の向上を背景に、企業やプライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンドによるM&Aが急増している。
こうした動きを受け、銀行は日本での存在感を高めようと、優秀なディールメイカーの獲得、チーム増強、専門のファイナンス部門の立ち上げなどに力を入れている。
ブルームバーグの集計によると、今年これまでに日本企業が関与したM&A案件の総額は1370億ドル(約20兆4000億円)に達し、前年同期比で約170%の急増となっている。
投資銀行にとって、日本のような成熟市場は、アジア太平洋地域における収益確保のうえで極めて重要だ。新興国に比べて手数料収入が高くなる傾向があるためだ。
案件の頓挫は、投資銀行以外にも波紋を広げている。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、アンドルー・チャン氏は17日のリポートで、セブン&アイの株式2%を保有する三井物産は、買収が成立していれば約10億ドルを手にできた可能性があったと指摘した。
著者:Manuel Baigorri
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