「仕事をすぐ辞める責任感のない若者」という声もあるが…。「退職代行のリピーター」となった彼に起こった体の不調
また、実験のように自分のペースで進められることは得意だったが、結果を求められるのは苦手だったそうだ。必要以上に責任感を背負い込み、精神的に追い詰められることもあったという。
「大学院ではシャーレで培養したバクテリアを顕微鏡で観察してデータを取るという実験をしていました。でも、想定していた結果がなかなか出なかったんですよ。奨学金も借りているし、留年したらマズいと思いました。でも、解決方法を見出せない。『しんどいな……』と思って、研究室に行かなくなりました」
数カ月間、研究室を休んだ松田さんは「このままだと卒業できない」と焦りを感じるようになる。ただ、この時はリカバリーに成功する。修士論文を提出する3カ月前に指導教員やメンバーに謝罪をして復帰した。
「『今まで来なくてすみませんでした』と頭を下げました。そこからスイッチが入って、教授たちに助けていただいたおかげで修士論文をなんとか完成させることができました。卒業式では自分たちの学年を代表して学位記を受け取るーー総代にも選ばれたんですよ。『追い込まれたら力を出せるんだ』と自信がつきました」
「手に職をつけたい」と思い未経験でITエンジニアへ
大学院を修了した松田さんは、私立高校の理科の実験助手として働くことになった。主な業務は、理科の授業や実験をスムーズに行うために理科の教員をサポートすること。理科準備室に保管してある薬品や使用する実験器具の管理などを行った。
待遇には不満はなかった。クラスの担任を持たないので残業はほとんどない。給料は教員より低いものの、ビジネスカジュアルのような服装で学校に通える。その上、チームで結果を出すために動く機会は少なく、自分のペースで仕事に取り組めた。
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