「仕事をすぐ辞める責任感のない若者」という声もあるが…。「退職代行のリピーター」となった彼に起こった体の不調

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手帳を持つ松田さん(写真:筆者撮影)

退職代行の利用には否定的な意見も多い。「やめ癖がつく」「責任感がなくてどの仕事もできない」などの声が多く寄せられるが、松田さんのフリーランスとしての仕事は6年間続いている。

「2社目は精神的に限界で退職代行を使いました。3社目の理由は少し異なりますが、入社してすぐに働き方に失望したせいで同じような状況になったんです……」

たどたどしい口調で松田さんは当時を振り返る松田さん。その話を紐解いていくと、やりたいことと苦手なことの狭間で葛藤する若者の姿が見えてきた。

本連載では、取材にご協力いただける方を募集しています(首都圏にお住まいの場合は対面またはオンライン、首都圏以外の方はオンラインでの取材となります。また仮名での掲載、顔写真撮影なしでも可能で、プライバシーには配慮いたします)。ご協力いただける方はこちらのフォームからご応募ください。

「仕事を辞めるのって大変なんだな」

松田さんが初めて働いたのは高校3年生のときだった。地元・神奈川のコンビニで週に2回のシフトに入り、淡々と業務に勤しんだという。高校を卒業した後は、奨学金を借りながら大学へ進学。生物系の学部で細菌学を専攻し、大学院へ進んだ。

「遺伝子を解析したり、組み替える『細菌学』を研究していました。ニッチなジャンルですが、学部生時代に組み替えや解析に携わって『おもしろいし、とりあえず修士まで進もう』と思いました」

大学院への進学をきっかけにコンビニのアルバイトは辞めることになる。このときに初めて仕事を辞めることへのストレスを覚えた。

「『アルバイトなんだからすぐに辞められるだろう』と思っていたんですよ。でも、話を切り出そうとすると避けられてしまって。無言の圧力を感じましたし、『仕事を辞めるのって大変なんだな』と実感しました」

松田さんは、相手にデメリットを与える行動を取ることに苦手意識を持っていたようだ。「コミュ力が低かったんですよね」と振り返る。

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