「仕事をすぐ辞める責任感のない若者」という声もあるが…。「退職代行のリピーター」となった彼に起こった体の不調
しかし、2年が経った頃にものたりなさを感じるようになる。新しい知識を吸収したり、実験のように仮説と検証を繰り返したりする機会がなかったためだ。さらに、持ち運びできるスキルがないこと、今後もその可能性がないことに不安を感じた。
「職員室にいる先輩や上司たちを見てみると将来の自分の姿がイメージできてしまって。結婚して家庭がある人にとってはいい環境だと思いますが……。僕はまだ25歳でしたし、『もっと手に職をつけたい』と思いました」
ニコニコ動画やツイッターなどのインターネット文化が好きだった松田さんはITエンジニアになろうと決意する。未経験から経験を積める都内の企業を中心に転職面接を受けた。
「当時は『未経験OK』の企業も多かったんです。何社か選考を受けた結果、客先に常駐しながら開発をするーーいわゆるSES(システム・エンジニアリング・サービス)の企業から内定をもらうことができたんです」
転職先で起こった出来事は…
転職先が決まった後は退職手続きだ。このときは退職代行サービスを利用しなかったが、仕事を辞めると伝えることに後味の悪さを感じたという。
「転職先が決まっているので直接的な引き留めはありませんでした。でも、校長先生に退職を告げたときに『ずっといてくれると思ったのに残念だ』と言われて。また、退職が決まってから職員室で雑談をすることも少なくなったんです。みんなから避けられてしまって……。こういうことになるのはしんどいなと思いました」
退職した松田さんは、転職のために神奈川の実家を出て東京都内で一人暮らしを始めた。
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