大好きだった夫の死で、狂った老後の人生設計――これからどう生きていくか、悩みはつきない《くらたまの「人生後半 独り旅」連載 第1回》
西原さんとも、直接会うのは20年ぶりくらいになります。でも、共通の知り合いもいて、情報は耳に入ってくるので、お互いの近況はざっくり把握しているはずです。
「おー、久しぶり」
遠くの卓にいるのが目に入り、あいさつしようと席を立つと、西原さんも近寄ってきてくれました。
彼女の顔を見ると、夫のことが思い出されて、涙が出てしまいました。西原さんは、夫とも面識があります。そして西原さんも、20年近く前にパートナーだった方を亡くしています。
「ダンナさん、私の友だちにも仲よかった人多くてね。彼のこと悪く言う人、1人もいなかったよ」
夫のことをほめてもらい、私も「はい、すごく面白い人でした」と泣き笑いで言いました。
「お互い夫見送って子ども育てたんだから、あとは好きに生きていこうね」
「そうしましょう」
そう言って、ギュッとハグし合いました。温かいハグ。思いがけずこういう瞬間があるから、外に出る、人に会いに行くって尊いんです。
私もまだまだ夢を持ちたい
そして、かつてプライベートでの麻雀仲間でもあった片山まさゆきさん。

私と麻雀していた頃は週刊誌にも月刊誌にも多数連載を抱えていましたが、今はもう一旦筆を折って、既に10年くらい漫画は描いていないそうです。でも、こんなことを言っていました。
「もう前みたいには描けないけどさ。いつかデジタルで描くことを覚えて、4コマとか、ちょっとした漫画を日々配信するのが夢なんだ」
現在66歳の片山さんの夢。何だかとても勇気づけられました。大きくなくてもいい、私もまだまだ夢を持ちたいという気持ちになりました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら