「助手席に監視員?」テスラ≪ロボタクシー≫始動2週間で露呈した“現実”
ところが、2025年6月12日(延期の可能性もあり)と予告したロボタクシーの開始が迫る5月になっても、テスラはオースティンの公道上で自動運転車両によるテスト走行を行っていないことが報じられはじめた。
参考のために述べておくと、Waymoは新規のエリアでサービスを提供する際は、安全のためのオペレーターが乗った状態で約6ヵ月、無人でも約6カ月の試運転期間を設けて、安全な走行が可能であることを確認してからサービスを開始している。
一方のテスラは、5月下旬になってようやくロボタクシーがテスト走行をする姿が目撃され始めた。マスク氏はこのことについてメディアに聞かれた際、「ここ数日間」だけ「運転席に誰も座っていない」状態でサービスをテストしたと認めた。ただし、目撃情報によると、確かにロボタクシー用のModel Yの運転席には誰も座っていなかったものの、助手席には、緊急時に車両を路肩に寄せて停める操作を行うため、テスラのオペレーターが安全監視員として座っていた。
サービス開始当日から続々とトラブル発生

結局、テスラはドライバーこそいないものの、助手席に安全監視員が搭乗するという変則的な形で、マスク氏が当初述べた予定より1週間遅れの6月22日より、ロボタクシーサービスを開始した。
このサービスの営業時間は午前6時から午前0時までで、当面は、10~20台ほどのModel Yが、オースティンでも比較的交通状況が安全、かつ小規模なエリア内を走行する。ロボタクシー車両は高速道路、空港エリア、複雑な交差点には進入はせず、迂回ルートを選択するほか、悪天候の際は走行を中止するとアナウンスされた。
この日以降、実際にテスラのロボタクシーを体験した人々の反応は、総じて好評だ。一方で、SNSやYouTubeなどには、続々とテスラのロボタクシーの様子が投稿されはじめた。特に、ほとんどテスト走行をしないままで開始されたサービス初日には、ささいな問題から交通法規違反、ロボタクシーが周囲の交通の妨げになっている様子まで、大小さまざまなトラブルが報告された。
最初に話題になったのは、ロボタクシーが左にウィンカーを出して左折レーンに進入したにもかかわらず、交差点でうまく左折できずにまっすぐ通過した挙げ句、交差点を出たところで対向車線を逆走してしまった事例だ。
幸いにも、このときは対向車が来なかったので、ほどなくしてロボタクシーは本来の車線に戻り、周囲への影響もほとんどなかった。とはいえ、交差点に進入してから、センターコンソールのナビ画面に写る自車(のCG)の進行方向を示す矢印が激しく左右にぶれている様子は、見ていて落ち着くものではない。
続いて報告されたのは、ロボタクシーに乗って目的地付近に来た乗客が、降りようとして「停車」ボタンを押したところ、なぜか交差点の左折レーン上で停止してその場で乗客を降ろそうとしたことだった。アメリカの道路は右側通行なので、交差点の左折レーンは道路の中央線側になる。そんな場所で降りるのは当然危険だ。
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