「部屋を空っぽにしてください」《オタ部屋》に住む彼女が、すべてを捨て去った“切実すぎる事情”

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その間、女性はこの部屋に住むことなく、別の家を借り、空家賃を払い続けていたそうだ。

「時間が合わない、急な仕事が入った、という理由で何度も見積もりの日程が流れ、半年越しでようやく作業日が決まったんです。女性はもう別の場所に住んでいて、おそらく1年以上はこの部屋を荷物置き場として使っていたのではないでしょうか」

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大量の洋服や飼っていた猫用品がぎっしりと詰まっている衣装部屋(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
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生ゴミこそないものの、リビングにもモノが大量に詰め込まれている(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)

「私生活をリセットしたい」という依頼

二見氏によれば、女性は明るくサッパリとした性格だったが、どこか自身のプライベートを深く探られたくないような印象を受けたという。見積もりの際も女性は饒舌だったそうだが、それも防御線を張っているように感じられた。

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口にはしなかったが、女性は今の生活をリセットしたい理由があったのだ。

このような依頼は珍しいケースではない。とくに若い女性からの依頼には、「私生活のリセット」を目的としたものが少なくないという。

「新しい恋人ができたけど、今の部屋には呼べない……という状況は多いです。自分の部屋の状態を『ゴミ屋敷』と認識していても、多忙な日常の中ではどうすることもできない。看護師さんなど、夜勤があったり勤務時間が不規則だったりして心身ともにハードな職業の方にもよく見られる傾向です。部屋は寝に帰るだけ、荷物を置くだけの場所になってしまうんです」

忙しさ以外にも、自分で片付けることの精神的な負担から、業者に一任したいという気持ちが働くこともあるだろう。今回の現場も依頼主は立ち会わず、イーブイに部屋の鍵を預けての作業だった。

思い出の品や愛着のあるモノを自分で捨てるのは気が引ける。だったら、専門業者にすべてを委ね、知らないうちに片付けてもらうほうが精神的なダメージは少ないのかもしれない。

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オタグッズが大量にあった作業部屋から何もなくなった(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
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リビングもすっきりきれいな状態に(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
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衣装部屋もモノがなくなり明るい雰囲気だ(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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