参院選に向けた絶好のアピールの場だったのに…、裏方だけが知る「党首討論会」の中身が残念すぎた根本原因
ただ、今回の討論はテーマが多岐にわたったこともあって、「1つひとつの課題についての質疑応答での深まりがなかった」(政治ジャーナリスト)との指摘がある。さらに、論争の“主役”となる石破、野田両氏の「長広舌による論点外しや、明確な結論を避ける応答ぶりが、論戦に水を差す結果になった」(同)のも否定できない。
そもそも、登壇した8党首のうち、吉村氏と公明党の斉藤鉄夫代表、参政党の神谷宗幣代表は初参加。さらに、ほかの党首も、安倍晋三元首相(故人)や公明党の山口那津男元代表、共産党の志位和夫議長のような「常連」ではなく、「ほとんどの党首が挑発的な言動を避ける“紳士的対応”に終始したことが、盛り上がらなかった原因」(大手紙幹部)とみられている。
盛り上がり不足は事前に暗示されていた
そうした中、討論会に先立って別室で行われた、これも恒例の「事前説明会」での各党首の表情も、討論会本番での盛り上がり不足を暗示していた。その典型が、本番での討論終了後に公開される色紙への「座右の銘」などの揮毫だ。
石破氏は毎回のように書いてきた「鷲鳥不群(しちょうふぐん)」(=強い鳥は群れを作らず、単独で行動するという意味で、他者に流されず自分の信念に基づいて行動することを指す)を選択。一方、玉木氏は「念ずれば花ひらく」と、これも座右の銘を記した。
これらに対し、れいわ新選組の山本太郎代表は、結党以来の消費税廃止要求を踏まえて「失われた30年を40年にしない」と書き、「ようやく、みんなが消費税減税を掲げるようになった」と胸を張った。
過去の事前説明会では、故安倍氏ら「常連組」が顔をそろえた場合は、「本番前にもかかわらず互いに強い言葉で牽制しあうなど、控室から緊迫感が漂っていた」(記者クラブ事務局)とされる。しかし、今回は「互いに目礼を交わすだけで、大声での冗談や会話もなく、極めて事務的な雰囲気のまま本番を迎えた」(事前説明担当者)という。
加えて、討論会終了後も各党首の多くが笑顔で「お疲れ様、これからどちらですか」と声をかけ合うなど、「政権交代前夜の緊迫感はまったく感じられなかった」(取材記者)。
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