目の前に「見えている問題」の解決だけでは不十分な時代に突入…法人向け研修講師が"肌で感じた"人材育成の《新潮流》

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急成長のベンチャー企業からは、こんなお声をいただきました。

「うちの会社は業績がよいので、明確な問題がありません。その場合は、どうしたらいいでしょうか?」

さらに最近は、人事部門や育成担当の方向けの研修の相談も増えてきました。

「人的資本経営の時代に、人事・育成のプランを考える必要があるが、どのように考えたらよいのでしょうか? 経営戦略と人事戦略を連動させると言われても、どのような順番に考えたらいいのかわかりません」

これらの相談に共通することは、すでに顕在化している「見えている問題」の解決ではなく、今後の自分たちはどうありたいかという、現時点ではまだ「見えていない問題」を発見する力が必要だということです。

(出所:『課題解決の思考法 「見えていない問題」を発見するアプローチ』より)

求められているのは「見えていない問題」の発見

「見えている問題」とは、過去から現在において目標となる一定の基準に対し満たすことができなかった差のことです。一定の基準とは、組織の中でここまでやらなければならないと考えた目標数値のことです。

その数値を下回ってしまい問題が発生してしまったので、その問題を引き起こす原因を探り、課題を発見します。

問題解決に関する本はたくさんありますが、それらは「見えている問題」を対象にしています。その証拠として、多くの本で「まずは問題を定義する」と書かれています。

問題が見えているから、すぐに問題を定義できます(私がこれまで出版した2冊の本もそうなっています)。

私が提供する研修も数年前までは、ほぼすべてが「見えている問題」を解決するための研修でした。

売上が足りない、利益が足りない、ミスが起きた……。その問題を解決するためには、どうしたらいいのか。あらゆる「見えている問題」を解決するためのカリキュラムを開発してきました。

次ページ客の期待は「見えていない問題」の発見にある
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