炭酸リチウムの取引価格は、2022年11月につけた1トン当たり60万元(約1211万円)をピークに下落が続く。2024年6月には同10万元(約202万円)の節目を下回り、赤字に陥るリチウム生産企業が続出した。
現在の1トン当たり6万元の水準では、リチア輝石やリチア雲母からの精製ではまったく採算が合わない。利益を確保できるのは、リチウム含有量が高いごく一部の塩湖の開発プロジェクトに限られるのが実情だ。

鉄やアルミなどの一般金属と異なり、リチウムは市場規模が小さく用途も限られるため、相場が乱高下しやすい。炭酸リチウムの取引価格は2021年の年初時点では1トン当たり5万元前後だったが、それが2年弱で12倍に急騰し、そこから2年半余りで10分の1に暴落した格好だ。
ホットマネー大量流入のツケ
2021年から2022年にかけての急騰局面の裏には、中国の自動車市場でEVの販売が爆発的に拡大したのを受け、エンジン車からEVへの移行が世界的に予想を超えるペースで進むという期待の広がりがあった。

そんななか、大量のホットマネー(投機的資金)がリチウム業界に流れ込み、当時の高値を前提にした新規の資源開発プロジェクトが相次いで始動。それらが2023年以降に続々と生産を開始したため、需給バランスが供給過剰に傾いた。
追い打ちをかけたのが需要の伸び悩みだ。中国を除く世界の自動車市場では2024年に入ってEV販売が失速し、中国でも拡大ペースが鈍化した。その結果、リチウムの供給過剰に拍車がかかり、取引価格のさらなる落ち込みにつながった。
(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は6月18日
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