EV(電気自動車)の車載電池の主要原料であるリチウムの相場下落が止まらない。業界関係者の間には、「価格低迷は今後2年は続く」という悲観的な見方が広がっている。
広州先物取引所の9月26日の取引では、決済期限が2024年1月の炭酸リチウムの終値が1トン当たり14万9100元(約303万円)と、15万元(約305万円)の大台を割り込んだ。先物相場は直近の2カ月で4割近く急落。また、同日時点の現物価格も1トン当たり17万元(約346万円)と、1年前より6割以上も安い水準にある。
秋のEV商戦は期待外れ
リチウム相場の低迷の主因は、電池メーカーやEVメーカーの需要回復の見通しが立たないことにある。例年なら、秋の行楽シーズンは自動車業界で「金の9月、銀の10月」と呼ばれる書き入れ時だ。しかし今秋の商戦は(中国の景気減速の影響などで)盛り上がりを欠いている。
業界団体の全国乗用車市場信息聯席会の速報データによれば、EVとPHV(プラグインハイブリッド車)に代表される「新エネルギー車」の販売台数は、9月は75万台と前月比4.7%の増加にとどまる見通しだ。
「リチウム業界は9~10月に需要が底打ちするのを期待していた。しかし現実には、9月に入っても新エネルギー車の販売が期待したほど伸びず、中国経済全体の先行き不安も強まっている」。財新記者の取材に応じた証券会社のアナリストは、現状をそう解説した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら