「中国の炭酸リチウムの生産量は、2024年は前年比4割増の65万トンに達するだろう。特に下半期(7~12月)はさらなる供給増加が見込まれ、市場価格が年内最安値を更新するかもしれない」
市場調査会社の安泰科のシニアアナリストを務める範潤澤氏は、7月31日に開催された非鉄金属業界のフォーラムでそう警鐘を鳴らした。
炭酸リチウムは、EV(電気自動車)の動力源などに使われるリチウムイオン電池の主原料の1つだ。範氏によれば、中国の炭酸リチウム市場では2024年4~6月期から需要を月間1万トン以上超過する供給が続いており、年間では約10万トンの供給過剰になる恐れがあるという。
2021年以降の値上がり帳消し
需給バランスの悪化を反映し、市場では炭酸リチウムの取引相場が急落している。
7月31日時点の電池用炭酸リチウムの市場価格は1トン当たり8万2000元(約174万円)と、1カ月で約1割下落。1年前との比較では約7割も安い水準であり、2021年以降の値上がり分をすべて吐き出した格好だ。
「目下の需給バランスや季節要因を勘案すると、1トン当たり8万元(約170万円)程度の市場価格は妥当な水準だ」。範氏はそう指摘する。
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