SF好き集まれ!【シュレーディンガーの猫】【多世界解釈】量子力学の有名理論を徹底解説
シュレーディンガーの猫とは、放射性元素を組み合わせた毒ガス発生装置を仕掛けた箱の中に猫を閉じ込めたときに、何が起こるかを考えたものです。この状況で、放射性元素が崩壊すると、毒ガスが発生し猫は死んでしまいます。しかし、放射性元素が崩壊しなければ猫は死にません。ふたを閉じると箱の中は外から見えなくなりますが、このとき猫はどうなってしまうのでしょうか。
放射性元素の崩壊はミクロの世界の現象なので、崩壊するかどうかは、量子力学で記述されます。つまり、確率でしか表現できません。すると、観測する前の箱の中は、放射性元素が崩壊していない状態と、崩壊している状態が重なり合うはずなので、猫も生きている状態と死んでいる状態が重なり合っているということになります。
これ自体は、問題はありません。しかし、コペンハーゲン解釈では、箱を開けて中を観測した瞬間に放射性元素が崩壊しているかどうか決まり、「猫の状態も一瞬で決まる」ということになってしまいます。マクロなものにこのような変化が一瞬で起こるという理論を構築することは、ほぼ不可能に見えます。
シュレーディンガーは、原子の世界のようなミクロの現象が猫の生死というマクロの世界の現象にも影響を与える例を示し、ミクロの世界の現象とマクロの世界の現象を分けるのは道理が通らないと主張したのです。
多世界解釈
このコペンハーゲン解釈と対照的な考えに、20世紀半ばに出てきた「多世界解釈」があります。
これは、アメリカの物理学者ヒュー・エベレット3世が大学院生時代に書いた博士論文にある「パラレルワールド論」がもとになっています。彼は、量子力学が自然の基本原理であるならば、その原理は宇宙全体に適用されるはずだと考えたのです。
そして、量子力学による世界の分岐は、シュレーディンガー方程式に従って連続的に、そして自動的に起こるものであり、波動関数の収縮などといった人為的な概念は必要ないとしたのです。
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