半導体以外でもヨーロッパが台湾に熱い視線を送る3つの理由、戦略的位置づけ、サプライチェーン、そして自由と民主主義
「ドイツの軍艦は韓国・仁川(インチョン)から出航し、フィリピンまで航行しましたが、その際、当時の国防大臣は『なぜ台湾海峡を通るのか』という問いに、3つの理由を挙げて説明しました」
「1つ目は『The weather is good(天気が良かった)』、2つ目は『The road is short(航路が短い)』、そして3つ目が極めて重要で『It's a part of international water(台湾海峡は国際水域の一部である)』ということです」
「この3つのポイントから見ても、台湾はドイツ、EU、とくに自由主義陣営の一員であり、まさに運命共同体なのです」
彼はまた、2019年以降、EUがブリュッセルの中国に対する立場を見直し始めたことにも触れた。以前は中国を貿易パートナーと見なしていたが、今では競争相手であり、体制の対抗者と位置づけられている。
「ヨーロッパはますますその力を“体制の対抗者”という観点に向けるようになりました。中国が単なるビジネスパートナーでなくなった瞬間から、それは価値観や理念、あるいは科学技術・貿易における対立に変わり、中国の評価は下がり、台湾の評価が上がっていったのです」
世界保健機関から見る台湾の実力
謝志偉氏が初めてドイツに駐在したのは陳水扁政権時代のこと。2005年5月5日(金)の早朝にドイツに到着した。当時、ジュネーブでWHA(世界保健機関年次総会)が開かれており、台湾から多くの団体がドイツに赴き、台湾の支持を訴えてロビー活動をしていた。
「その中に、私たちの古くからの友人でもある医師がいました。2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の際、中国やWHO(世界保健機関)からの圧力によって、台湾は正確な情報を即座に得ることができず、病院が大変な状況になりました。
その年、世界では主にアジア・東南アジア地域で800人以上が亡くなり、そのうちの約10人に1人、86から87人が台湾人だったのです」
「その医師は台湾民主の先駆者でもあり、相手方と話しているとき、感極まって涙を流していました。私も傍で見ていて涙が出そうでした。しかし、正直に言えば、相手側の反応は非常に冷淡でした」
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