原田泳幸・日本マクドナルドホールディングスCEO--爆走するエネルギー、米国へのあこがれと反発

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当時340のオーナーを220に減らし、オーナー当たりのキャッシュフローは4倍超にアップ。FC比率も03年の3割が6割に高まった。

FCの一つ、ベルエポック社長の佐藤明は生き残った一人だ。「脱落したオーナーはいっぱいいる。だが、戦略が明確だから、次の投資判断を下せる面もある。結局、あのエネルギーを真正面から受け止められる人だけが、残ったのかもしれない」。

経営陣も受け止められなかった。原田自ら「8年間で役員は3回転した」と言う。藤田時代の役員はすぐに去り、原田がアップルから連れてきたメンバーもほとんど残っていない。COOとしてスカウトした臼井興胤(おきたね)(現セガサミーホールディングス取締役)は1年足らずで解職され、地位確認の訴訟を起こした(マクドナルドが和解金を支払い和解済み)。

「日本のカリスマ経営者に共通の弱点は後継者を作らないこと」と言うものの、本気で後継者を作ろうとしているふうには見えない。「昨日の私の仕事をできるやつがいても、私の明日の仕事はある。売り上げ6000億円も、通り過ぎるバス停の一つ。退任を思った瞬間に私のリーダーシップは止まる。そういうものでしょ」。であれば、エネルギー全開の疾走を続けるほかない。もう一つの内なる極を押し殺しながら。

いったい、49会のメンバーたちが驚く原田の華麗で過酷なオフは、一極に振れ切ったオンの緊張をバランスさせるためのものなのか。それとも、今、原田を満たしているのは、ついにフェンスの内側の「天国」を手に入れた満足感なのだろうか。

防空壕の近く、数十年前のはだしの少年なら、フェンスの中の男を見て、何を思うだろう。=敬称略=

はらだ・えいこう
幼稚園児の頃、ラジオから流れるマイルス・デイビスの曲に合わせ、台所の鍋を菜ばしでたたいていた。中学3年で聴いたグレン・ミラー。「こういう世界に入れたら飯を食えなくてもいい」と思った。もう1つ、原田のベースにあるのは、父親から受けた教育だ。実家は3度火災に遭ったが、「1つだけ燃えなかった財産がある。それは信用だ。信用は人に見えないところでできるもの」と教えられた。


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(二階堂遼馬 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2012年1月7日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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