「北川景子に凄みが出てきた…」ドラマ《あなたを奪ったその日から》での好演で話題! 人気女優が“誘拐犯役”を必ず通るのはなぜか?
北川景子には女の業がよく似合うように思う。大河ドラマ『どうする家康』(2023年、NHK)では茶々役で、父・浅井長政の仇である秀吉(ムロツヨシ)に嫁ぎ、母・市(北川二役)と関わりの深かった徳川家康(松本潤)と闘い続ける。
この役はまさに業の深さの極地で、燃える大坂城の天守閣での最期の恨み節は圧巻だった。
むしろ、そういうぶっ飛んだ役のほうが彼女の気高く端正な顔立ちに似合っているのかもしれず、市井に溶け込む生活者の役のほうが想像しづらい。それが今回、『あなたを奪ったその日から』で市井の母の中にうごめく業を演じて一気に役の幅を広げることになった。
北川景子の俳優としての今後の活躍にも期待したいと思ったら、今度は映画『ナイトフラワー』(内田英治監督)で、2人の子どもの養育費を稼ぐため麻薬の売人をやるシングルマザー役に挑むという。『あなたを奪ったその日から』の紘海役を架け橋にして、ますます深いところに突入だ。

人気女優たちが「誘拐もの」に挑戦する理由
「誘拐もの」は、女の業を描くのにふさわしいジャンル。
『八日目の蝉』のドラマ版では檀れい、映画では永作博美が、誘
余談だが、『Mother』の誘拐される子どもを演じたのは芦田愛菜で、彼女の演技力の高さもドラマを牽引した。
なぜ、誘拐もの、それも女性が子どもを誘拐する作品、それが女優(あえて女優と書く)を輝かせるのか。
1人の人間の中の善と悪を演じるうえで最適だからであろう。実子、あるいは他人の子へのどうしてもあふれ出て抑えきれない愛。その愛ゆえに犯してしまった罪。その簡単に答えの出せないところを演じることで、俳優はとてつもない輝きを増す。
たとえば、悪役はやりがいがあるが、イメージダウンの危険も併せ持つ。子どもを誘拐し、次第に情が湧いてきて、罪と愛の間で苦しむ役ならば、完全な悪にもならず、どこまでも子どもを愛する人間力で突破できる。

また、たとえば、女性はある一定の年齢をすぎると、母親役が増えていく。でも母親役はあくまで子どもの理解者だったり反抗相手だったりと、劇的要素が少ない。母親かつ、劇的なところも演じる役、光と影のゆらぎを演じることができる役として、誘拐犯という役が俎上に上がってくるのだろう。
誘拐自体は罪ではあるが、そうせざるをえなかった人間の苦しみの表現方法として、誘拐ものはなくてはならない。
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