「北川景子に凄みが出てきた…」ドラマ《あなたを奪ったその日から》での好演で話題! 人気女優が“誘拐犯役”を必ず通るのはなぜか?
我が子をふいに亡くした深い絶望と悲しみ→激しい復讐心→他人の子に移る情→母と子の平凡な幸せ→バレないように休まることのない警戒心→やっぱり自分の子を失ったことも忘れられない→真相への追求心→じょじょに変化していく仇に対する感情→予想だにしなかった真相を知ったショック→再びもたげる実娘を失った悲しみや後悔(第9話時点、いまココ)……と感情の種類とうねり方が多種多様で、北川景子を見ているだけで満足感がある。
北川景子の存在が物語そのもの。当人もやりがいを感じながら演じているのではないだろうか。もちろん感情的にはしんどい役ではあると思うが。

“ぶっ飛んだ役”が似合う、気高く端正な顔立ち
プライベートでは2人の子どもの親である北川。2016年に結婚(夫は俳優、タレントのDAIGO)、2020年に第1子、2024年に第2子を出産し、育児と仕事を両立している。
俳優は自分と違う人物を演じたいものとよく耳にするが、子を持つ人物を演じるとき、親の実感が強みになることもあるだろう。先述した、淡々と幼児の歯を磨いているときの身ぶりのリアリティ。こういうディテールが奇想天外なドラマに説得力を与えていることは大事にすべき点のひとつだと思う。
生活感を出しつつ、そこから大きく飛躍して、ふつうならそこまでやらないという行為に手を染める。ひとりの人間が持つ振り幅の大きさを北川景子は見事に演じている。

第9話の中だけでも、3人に謝られているときの険しい表情→謝り終わったときの「なんなんですかこれ」という虚無の顔→灯を思っての悲しみのぶり返し→自分の最大の罪を言えず追い込まれ、あくまでシラを切り通そうとする強がった顔、これまで必死で守ってきた信念が崩壊目前の顔……とどんどん表情が移り変わっていた。
最終回、ラストシーンの紘海はどんな顔をするだろうと想像するだけで楽しい。
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