“芸能界の壁”を越えて……のん、民放ドラマ「キャスター」11年ぶり復帰が意味すること

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のん キャスター
(画像:のん公式インスタグラムより)

女優・のんが4月27日放送のTBS系ドラマ「キャスター」に出演。11年ぶりに民放ドラマへと帰還した。この出来事は、一人の女優の復活劇であるだけでなく、日本の芸能界が抱えてきた構造的問題への回答としても象徴的な意味を持つ。

だが、彼女の歩みを振り返れば、それは単に「干されていた女優のカムバック」ではなく、時間をかけて鍛え上げられた表現者が満を持して地上波に戻ってきたのだと言える。

19歳「あまちゃん」で大ブレーク

2013年、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で一躍ブレークを果たしたのん(当時は本名の能年玲奈)は、当時19歳。三陸の小さな漁村に暮らす高校生・天野アキを演じ、海女として働きながら、アイドルを目指して上京するという物語の中で、みずみずしい感性と驚くほど自然な演技を披露した。

のんは役になりきるのではなく、役そのものとしてそこに存在しているようだった。視聴者は彼女のぎこちない笑顔、不器用な自己主張、そして不意に訪れる涙に共感し、夢中になった。ドラマ内で使われた「じぇじぇじぇ」というフレーズは2013年の新語・流行語大賞に選ばれ、彼女は国民的スターとなった。

その勢いを証明するかのように、翌2014年には映画『ホットロード』で主演を務めた。原作は伝説的な少女漫画で、親に愛されていないと感じる少女・宮市和希が、不良少年との出会いを通じて生きる意味を模索する姿を描いた作品だ。のんは、この役で「内面の不安定さ」と「かすかな希望」を共存させた繊細な演技を披露した。

「あまちゃん」のアキの快活さとは正反対の、沈黙や眼差しで語る芝居に挑み、役者としての幅の広さを印象づけた。原作者・紡木たくが彼女の存在を知って初めて実写化を許可したという逸話も、のんのポテンシャルの高さを物語っている。

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