キャッシュレス決済界隈でシェア伸ばす伏兵《デビットカード》 “若者人気”があらわにする「日本社会への憂慮」とは

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昔話をすれば、かつてデビットといえば「J-Debit(ジェイ・デビット)」を指していた。これは銀行のキャッシュカードを使い、端末に銀行口座の暗証番号を入力すると、口座からの即時引き落としで支払いできるというもの。ただ、利用できる加盟店数の問題などもあり、消費者の間ではなかなか広がらなかった。

それに対し、国際ブランド付きのデビットカードは明快だ。Visa、Mastercard、JCBなどの加盟店なら利用できるし、オンラインショッピングの決済にも使える。このわかりやすさが評価され、利用が伸びていると思われる。

先の「決済動向調査」の中に、現金派とキャッシュレス派についての比較もある。お金を払うときに現金をよく使う人を現金派、クレジットカードや電子マネー、決済アプリなど現金以外の支払い方法をよく利用する人をキャッシュレス派と区別しているのだが、その割合は37:63で、やはりキャッシュレス派が優位だ。

とはいえ、現金派であってもキャッシュレス手段を利用しないわけではない。面白いのは、クレカやコード決済の利用率はキャッシュレス派と比べて当然低いのだが、なぜか現金派のブランド付きデビットの利用率は高い。口座からの即時引き落とし方式は、現金に近い感覚だとして評価されているのだろう。

現金派の人は、使いすぎることなく、手元にあるお金の範囲で堅実にやりくりしたいという志向が強い。いわば、値動きのある投資商品で資産形成するより、コツコツ積立しながら元本を確実に積み上げていきたいという感覚だろうか。そうした“お金慎重派”にはデビットが向いているのかもしれない。

デビットは銀行側にもメリットが

現金を引き出す必要がなく利用できるデビットは、銀行にとってもメリットがある。

一つはATMの維持コスト問題だ。先日も、三菱UFJ銀、三井住友銀、みずほ銀のメガ3行がATM共同化に向けて検討を始めたというニュースがあったばかりだ。キャッシュレスの浸透に伴い、実店舗やATMを削減していく動きは止まらないだろう。現金を引き出さずに支払いができるデビットカードは、銀行にとってもありがたい存在というわけだ。

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