TPP参加問題、製造業にとっても無益、農業には壊滅的打撃も

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地方の受ける打撃は巨大

しかし、TPP参加による農業への壊滅的打撃は、地方の農村に致命的な存続の危機をもたらすだろう。

現在、全産業生産額に占める農業生産額の比率(2009年度)は、第1位の宮崎県が4・3%、第2位青森県が3・9%、第3位山形県が3・7%、第4位鹿児島県が3・6%、第5位秋田県が3・4%、第6位北海道3・3%と、上位は九州、東北、北海道に偏っている。

また、これら農業生産額比率上位の県は、コメの重要な産地であることで共通している。

全産業に対する農業生産額比率がトップでも4・3%、全国では1・0%と低いから、日本経済全体への影響は少ないと考える人がいるかもしれないが、これはまったくの間違いだ。農業の盛んな地域では、食品加工や食料品製造など農業関連の製造業の比重が大きく、農業への打撃は農業のみにとどまらない。

また、過疎地域では土木建設業のプレゼンスが大きいが、これも、農業土木など、農業や農業従事者あっての存在である面が大きい。

ただでさえ憂慮されている限界集落の増加は加速するだろうし、さらには、過疎の自治体の消滅にも結び付きかねない。

また、農業の将来性に希望が失われることによって、若者が農業を継承せず農村から去っていく傾向がいっそう強まる可能性が極めて高い。

さらに、足元の問題として、農業比率が高い県が東日本大震災の被災地と重なる点も重大である。被災地では、水産業とその関連産業への被害が強調されているが、農業への被害も大きい。被災地域がさらに苦境に追い込まれるような事態は絶対に避けるべきである。

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