TPP参加問題、製造業にとっても無益、農業には壊滅的打撃も

TPP参加問題、製造業にとっても無益、農業には壊滅的打撃も

現在、TPP(環太平洋経済連携協定)への参加問題について、さまざまな点が議論されている。まず筆者の立場を明らかにしておくと、TPPへの参加は日本にとって極めて有害であり、何らの利益をももたらさないと考える。その論拠は次のようなものである。

第一に、工業製品に対する日米の関税率はすでに双方とも低く、TPP参加は日本の製造業にとっても、ほとんどメリットが見当たらない。

たとえば米国の関税率を見てみると、乗用車はわずかに2・5%。液晶モニターやカラーテレビが5%、ポリスチレン・ポリエチレンが6・5%、ベアリングが9%しかない。

現在、日本の工業製品の輸出が低迷している原因は、新興国企業に対する競争力の低下、米欧など輸出先国の経済不振、そして急激な円高であり、輸出先国の関税ではない。

TPP参加でコメ9割減

一方、農産物はどうか。農林水産省の試算によると、関税を撤廃した場合の主要農産物の生産は、コメが90%減、小麦が99%減、サトウキビなどの甘味資源作物が100%減、でんぷん原料作物が100%減、牛乳・乳製品が56%減、牛肉が75%減となっている。これは、まさしく日本農業の壊滅である。

また、原料作物が壊滅すれば、製品輸入も増え、結果として、いくつかの関連産業(たとえば製糖業などの食品製造業)も消滅してしまう可能性が大きい。

わが国のGDPに占める農業生産額が小さいことで、農業への打撃を軽視する見方があるが、これは大きな間違いだ。農業(漁業も)は、安全保障、国民の健康、文化や伝統に深くかかわる特別な産業なのである。

政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 最新の週刊東洋経済
  • ブックス・レビュー
  • 就職四季報プラスワン
  • 映画界のキーパーソンに直撃
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
電池開発でノーベル化学賞<br>吉野彰氏が示した「危機感」

受賞会見とともに、リチウムイオン電池の開発の歴史と当事者の労苦を振り返る。世界の先頭を走ってきた日本も、今後および次世代型の市場では優位性が脅かされつつある。吉野氏率いる全固体電池開発プロジェクトに巻き返しの期待がかかる。