TPP参加問題、製造業にとっても無益、農業には壊滅的打撃も

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米国の農業は、先住民から武力で略奪した土地を使用し、巨額の公的資金を投入して農業関連の社会的共通資本を形成し、地下水を極限まで使った「略奪・破壊型」の農業である。そして、その結果、非常に大きな輸出競争力を獲得している。

一方、日本の農業は、国土の72%までもが中山間地であるために、経営合理化には大きな限界があり、価格競争力が弱い。

だが、その反面、環境の保全、生物多様性への寄与、美的景観の維持などによって地域や国家に大きな貢献をしているのに加え、経済的にも大きな外部効果をもたらしている。

現在、世界人口の増加によって、外交的にも、食糧安全保障の面からも、農業の重要性はいや応なく高まっていくものと考えられる中で、日本の農業を自ら武装解除することによって壊滅させてしまうことは、何としても避けなければならない。

(シニアライター:福永 宏 =週刊東洋経済2012年3月24日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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