患者をほかの病院へ転院させたほうが“得”…現役医師が指摘する「高齢者医療」の深すぎる闇

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
入院するシニア
病気の高齢者の入院先がどんどん減りつつある(写真:ペイレスイメージズ1(モデル)/PIXTA)
高齢者医療を支えてきた中規模病院が、次々に破綻している。
コロコロと変わる厚労省の政策に翻弄され、一時は破綻寸前まで追い込まれた病院もある。住民が高齢化した下町の病院長は、この医療制度の過酷な実態を明らかにし、この国の医療と介護をダメにした原因を指摘。日本の医療崩壊を大胆に予測する。
あと5年で行き場のないお年寄りが町にあふれることになる。地獄を回避したいなら、いまが最後のチャンスだ――(熊谷賴佳著『2030―2040年 医療の真実-下町病院長だから見える医療の末路』より一部抜粋・編集。全3回の1回目)。

病院間をたらい回し、右往左往する高齢者

2040年には都市部は高齢者があふれ、介護が必要になった人の居場所が足りなくなりそうだが、その前にどんどん減りつつあるのが、病気の高齢者の入院先だ。この先、病院間をたらい回しになり、右往左往する高齢者が増えることになる。

私自身、数年前から、家族ががんや脳卒中、心臓病などで入院した知人や友人から、「転院先を探しているが、先生の病院に入院させてくれないか」とか「高齢者を入院させてくれる病院はないか」という相談を受けることが多くなった。

それというのも、これまで、がん、心臓病や脳血管疾患などの手術後などに、病状が安定しないために自宅へ帰れない高齢者の受け入れ先になっていた中小の一般病院や療養型の病院が減っているからだ。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事