部下「独立します」に「ありがとう」と返すべき理由。優秀な部下を「協業パートナー」に変える人手不足時代の新たな離職対策

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40代で営業成績がトップクラスの社員が辞めて独立するとなった際、ねぎらいと感謝の言葉を伝えないまま協業の提案だけした会社がありました。

しかし、結果として協業は実現しませんでした。

表面的には円満退社となったものの、ビジネスパートナーとしての関係構築には至らなかったことが原因だと考えています。

辞めた社員の側からすれば、さらなる利益獲得のために辞めた後も自分を利用してやろうと思っているのではないかと感じると、協業におよび腰になります。

人間は経済合理性だけで動くものではなく、感情が行動に大きく影響します。

いくら利益獲得につながるといっても、良好な関係ができていない相手とはビジネスをしようとはしません。

優れた社員ほどそういう点を大切にします。

そのため、協業の提案の前に誠意あるねぎらいと感謝の言葉を伝え、改めて関係構築をすることが重要なのです。

辞めた社員との協業はますます重要に

一方で、誠意あるねぎらいと感謝の言葉を伝えたうえで協業の提案をした会社は、高い確率で協業が実現できています。

退職の意思を伝えられた際、一旦は引き止めるものの、それが難しいと判断した場合は、ねぎらいと感謝の言葉を誠意をもって伝え、協業を提案します。

これにより優秀な社員の退職によるダメージを抑えることができています。

今、さまざまな会社で「アルムナイ制度」が導入されています。

アルムナイ制度とは、「退職した元社員(アルムナイ)」と企業が継続的に関係を築くための仕組みや取り組みを指します。

今後、少子化が進むにつれて人手の確保がますます大変になるため、辞めた社員とも良好な関係を構築し、協業することは今後ますます重要になるでしょう。

その際、協業の提案の前に、改めて関係構築をすべく、これまでの業務に対するねぎらいと感謝の言葉を忘れないようにしていただければと思います。

藤田 耕司 経営心理士、税理士、心理カウンセラー

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ふじた こうじ / Koji Fujita

一般社団法人日本経営心理士協会代表理事、公認会計士、税理士、心理カウンセラー。これまで1200件超の経営相談を受け、心理学と会計を活用した経営改善を行う。その経験から経営者の心理、部下の心理、顧客の心理を分析し、経営心理学として体系化することで経営改善の成果を高める。また、経営心理学を学ぶ「経営心理士」の資格を創設。経営心理士講座の受講生はのべ5000名を超え、その内容は大手企業や省庁でも導入される。著書に『リーダーのための経営心理学』(日本経済新聞出版社 日本、台湾、韓国の3カ国で出版)、『経営参謀としての士業戦略』(日本能率協会マネジメントセンター)。

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