アドビの新事業育成メソッドが秀逸だった 日本企業も学べるKickboxという仕組み
アドビシステムズが社内でイノベーションを続けるためにスタートさせたプロジェクト「Kickbox」は、ランドール氏が作った赤い箱だ。この中には、ランドール氏がそれまで経験してきたスタートアップでの経験を踏まえ、プロジェクトを成功に導くための道具が入っている。
ランドール氏は、ビデオのハードウエア、ソフトウエアのスタートアップを何社も経験してきた「ビデオ畑」のキャリアを持つ。2001年に創業したSerious Magic社は、2006年にアドビシステムズに買収され、ランドール氏もアドビに移ってきた。同氏は、自分は失敗がうまいことに気づき、アドビ社内では誰もやってこなかった、「発展のために失敗から学ぶ」ことを伝えたかったという。
「私たちは、社内に『失敗してもよい』という環境を作りたかった。それまでは失敗を許してくれないのではないか、と言われていた。成功することはよいことだが、革新的なことでないから成功する、という側面もある。本当に革新的なことは、失敗する。そうしながらよくなっていく。そのため、うまい失敗の仕方を伝える必要がある」
社員の隠れた才能を生かすのが「Kickbox」だ。Kickboxを使い始める際に2日間のワークショップを受ける必要があるが、すでに1300人のアドビ社員がKickboxを使っているという。
赤いKickboxの中身とは?
ランドール氏が、うまい失敗のための道具として揃えた赤い箱の中身は、何が入っているのだろうか。
「まずは砂糖(チョコレート)、そしてカフェイン(スターバックスのギフトカード)。これらは考えるために重要な食品の要素だ。イノベーションを起こすための説明書、その他の資料、そして1000ドルのプリペイドクレジットカードだ」
1000ドルは、リサーチやプロトタイピングのための資金だという。この中身を提案した際、財務部から猛烈な反対に遭ったそうだ。1000ドルの資金を無駄にしてしまうかもしれない、盗む人がいたらどうする?と言われたそうだが、ランドール氏はこう反論したそうだ。
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