《東京藝大に6回挑戦も不合格》 それでも彼が浪人を肯定する訳 「早く大学に入るのが怖かった」と語る真意も

✎ 1〜 ✎ 131 ✎ 132 ✎ 133 ✎ 134
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「受かったときもうれしいという感情は特にありませんでした。『5浪してるから、そりゃ受かるだろう』という感じでしたね。ですが、予備校で納得いくまで学べたのが自分の人生にとってよかったと思います」

これからも画家として絵を描き続ける

5浪で美大受験を終えた岡部さん。

浪人したよかったことを聞くと、「絵を描いていくうえでの訓練ができた」、頑張れた理由については、「予備校で絵を勉強したいというモチベーションがあったから」と答えてくれました。

「2浪〜3浪目のときは、しばらく上手に絵を描けない時期がありました。ですが、そのときも課題と別に、家で描いたものを持っていって、先生にアドバイスをもらっていた記憶があります。そういう日々の繰り返しで、長期的に役立つ力をじわじわとつけることができたのかなと思います」

大学に入ってからの岡部さんは、2年生のときにグループ展に参加するようになり、自身の絵の展示をしはじめます。3〜4年生に上がると、多いときは年に10回の展示を行うようになり、卒業と当時に絵画教室を始め、画家として生きていけるようになりました。現在はオンラインで絵画教室をしながら自身のYouTubeチャンネルで絵を上げ続けています。

濱井正吾 浪人 多摩美
現在の岡部さんの作品(画像:岡部さん提供)

「僕は浪人を経験して、自分の目標や目的をはっきり設定して、それに対して何をすべきかを考えて動けるようになったのがよかったと思います。大学に受かるのも大事ですが、合格するまでの過程で身につけた試行錯誤の力が重要だったのかなと思います。

それで、今も頑張れている部分はありますね。これからも絵を描いていきますし、これから描いていく人や独立したい人で何か知りたいことがあれば、オンラインで絵画教室をやっているのでSNSでもなんでもいいのでお声がけいただければと思います」

一見長く見える5浪の期間を、自身に必要な期間として捉え、今の画家としての活動に生かしている岡部さんからは、自分に必要な足場を焦らずコツコツと固めていくことが重要なのだと、改めて感じさせられました。

岡部さんの浪人生活の教訓:大学に合格する過程の試行錯誤が、その後の人生で自分を形作る
濱井 正吾 教育系ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

はまい しょうご / Shogo Hamai

兵庫県出身、1990年11月11日生まれ。「9浪はまい」のニックネームでTwitterやYoutube、テレビ出演などを行っている。大阪産業大学経済学部経済学科に入学後、龍谷大学経済学部現代経済学科に編入学し、卒業。 高校時代にいじめを受けたことから、いじめっ子を社会的に偉くなって見返したいと思い、在学中から仮面浪人として受験勉強を4年間続ける。大学卒業後、証券会社に契約社員として就職したが10日で自主退職、同月中に配置薬会社に再就職。昼は会社、夜は予備校という生活に。同社退職後は受験勉強に専念し、9浪で早稲田大学に一般受験で合格し、2018年に教育学部国語国文学科入学、2022年卒業。現在はカルペ・ディエム所属。

Facebook: https://www.facebook.com/shogo.hamai/
 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事