ここを第1志望に決めた時点で、岡部さんは「3浪くらいはしても仕方がない」と考えていました。
「高校2年の時点で、通っていた予備校には絵やデザインを学べる学校から来ている子が多くいました。自分はデッサンをした経験もなく、いきなり始めたので、周囲のレベルが高いと感じました」
しかし、毎晩20〜21時まで残って油絵やデッサンを練習したこともあり、だんだん絵は上達していきます。
高校生のときに受けた、予備校内の高校生を対象に実施する数十人のコンクールでは「たまたま運が良くて」総合1位を記録した岡部さん。
東京藝大一本で臨んだ現役の試験も「難しいという感じはしなかった」と当時の印象を振り返りますが、残念ながら不合格でした。
生活リズムを崩してしまう
現役では不合格だった岡部さんは、浪人を決断します。浪人した理由を聞いてみたところ「そもそも現役で受かる感じではないと思っていたから」と返してくれました。
「僕が受験した2010年前後は、受けていた学科の倍率が30〜40倍くらいで、現役じゃ受からないと思っていました。周囲も浪人をするのが当たり前でしたし、母親も理解を示してくれたので、3浪までには合格できればという感じでした」
現役時と同じ新宿美術学院に通って浪人を始めた岡部さん。しかし、1浪目は、学校に行かなくなったことで生活リズムが崩れてしまいました。
「1年間の講義スケジュールは、前半でデッサンの基礎をやって、後半では課題で出された問題を演習する感じでした。ですが、すべての授業には出ることはできていませんでした。学校がなくなり、予備校に行くも行かないも自由だという環境に慣れず、だらけてしまいましたね」
1浪目の最後のほうはまじめに予備校に出て対策をしていたものの、結局この年も東京藝大一本で受験して不合格でした。
2浪目は心を入れ替え、熱心に授業に出て課題をやっていた岡部さんでしたが、この年も東京藝大一本で受験して不合格。3浪目も、2浪目と同じような生活を過ごし、東京藝大を受けるも4度目の不合格を突きつけられてしまいました。
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