プラス志向の印象を刷り込む

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「そうそう、君は優秀な営業だったよな」

と言い出しました。わずか1回だけ営業同行したときのことを覚えてくれていたようです。当時は20代の若手営業。まだまだ力量も不十分と自覚していたので、大口取引先に対する年末のあいさつに関して役員同行を依頼することに。当時の担当役員がSさんでした。

それまでSさんと2人で話す機会がなかったので、同行依頼で役員室に行ったときには緊張はピーク。ただ、緊張して話せないことを憂慮して説明資料を綿密に準備しました。まずはその資料をSさんに手渡し、現状でわかりうる情報をすべて説明しました。するとSさんは、

「これだけ細かな資料を準備したのは立派、立派。ただ、大事なことは情報を活用して戦略を考えること。ちなみの今回の訪問で何をゴールと設定したいのか? 教えてくれるか?」

この質問に対して緊張しながらも、

「来期の予算を確保いただけたかの確認と、新製品の発売戦略を把握することです」

と準備しておいた回答が役に立ちました。「なかなかしっかりと考えているな」とお褒めの言葉をいただきました。ちなみに、営業同行は打ち合わせの成果なのか? 狙いどおりの結果を得ることができました。

ただ、その営業同行は、Sさんと仕事でかかわった貴重な1回となりました。双方が部門を異動してしまったからです。それから15年以上が経過しています。にもかかわらずSさんは鮮明に覚えていたようで、

「あれだけ準備万端に情報を収集して上司を使いこなす部下は貴重だ。本当はもっと一緒に仕事がしたかったよな」

 

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