海底撈、ココス、くら寿司…。“映え”に疲れたZ世代が、大衆チェーン店に求めた新しい共感の形態

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事例②「ココス」

ファミリーレストラン「ココス」では、無料でバースデーサービスが提供されている。一部店舗では店員がバースデーソングを歌ってくれるサービスがあり、特製のスイーツプレートを持って、バースデーソングを歌ってくれるという演出がSNSで話題になっている。

ファミレスという空間の中で、突然大きい声で歌が始まることにより、周囲にその声が響き渡るため、他の客から注目を浴びることになる。

時に、店員も少し恥ずかしそうに歌ったり、表情や雰囲気が硬かったりすると、その空気感が伝染して、祝われている本人は店員よりもっと「気まずさ」を感じることになる。

その微妙な空気感がSNS上でネタになるということを、Z世代は面白がっているのだ。

事例③「くら寿司」

「くら寿司」では、馬車やメリーゴーランドの形をした光るオブジェ、大きな音楽と共にケーキが回転レーンを通じて届くサービスがある。本サービスは予約が不要で、席に着いてからタッチパネルで気軽に注文できる。
また、注文された寿司がまっすぐ席に運ばれる専用レーンではなく、客席をぐるりと一周する「回転レーン」と呼ばれるベルトコンベアで提供される。

このレーンでは、他の客の席の前も通っていくため、注文した特別なケーキが自分の席に届くまでの間、店内のさまざまな客の目に触れることになる。カラフルな皿や光る装飾で流れてくるため、まわりの客から自然と注目される。そうした状況に、祝う人も祝われる人も少し照れながらも、目の前にゆっくりと近づいてくるケーキを見て「今か、今か」と待つ時間に高揚感や特別感を味わえる。

通常は寿司が流れるレーンに、突如として光る馬車が登場するギャップが強烈な異質感を生み、より一層気まずさを助長する。こうした突然の注目に戸惑う祝われる側の姿の投稿が最近よく見られるようになっている。

光るオブジェが他の客の前も通って回転レールを通ってくる(画像利用許可を取得)

Z世代より上の世代で一般的に行われていた誕生日サプライズといえば、例えばおしゃれなレストランで急にドリカムの「HAPPY HAPPY BIRTHDAY」の「午前0時を過ぎたら イチバンに届けよう HAPPY BIRTHDAY」という歌詞の曲が流れてくるというものだった。

店員さんがサプライズでろうそくに火の付いたケーキをテーブルまで運んでくれたり、突然、職場で皆でプレゼントを本人に渡す、などといった演出が多かったが、Z世代はこうしたありきたりなサプライズでは物足りなくなっているのだ。

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