部下の「五月病」を生む上司、モチベーションを高める上司の1on1!会社の成果は「オトナの精度」と「コドモの熱量」の掛け算で決まる!

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難しいのは、成熟や規律を担う“オトナ”と、創造性を担う“コドモ”をどう両立させるかです。

多くの企業では、新入社員にまず“コドモ”を育てることよりも、“オトナ”を身につけさせることを重視します。研修ではマナーや言葉遣い、ルールや仕事のやり方が教え込まれます。

これは、学生時代に膨らんだ“コドモ”を一度抑え、“オトナ”を内面に形成し、組織に順応させようとする試みです。

いわゆる「五月病」は、このオトナ部分への過剰な適応に耐えられなくなることで生じるのではないでしょうか。

自由な学生生活から一転、早朝に起きて出社し、ルールに従って働き、夜遅くに帰宅する生活。仕事は必ずしも面白いものとは限らず、むしろ苦痛です。しかし、この苦痛に耐え続けることで、次第に“オトナ”が形成され、苦しさがやわらいでいきます。その代償として、心の中の“コドモ”が失われていくのです。

こうした「五月病」に対して、リーダーにできることは何でしょうか。とくに効果的なのが、1on1の対話です。ただし、ただ対話するだけでは意味がありません。上司として対話に臨む姿勢が大事です。

老子の教えに従えば、対話において大切なのは「無為」の姿勢です。

つまり、過度に相手を導こうとせず、相手の中にある自然な変化や気づきを信じて待つこと。ときに部下は、なぜ自分がつらいのかをうまく言語化できないことがあります。しかし、静かに耳を傾け、評価や指導をいったん脇に置き、「柔弱」な受け止めを貫くことで、部下の中にある“コドモ”——つまり夢や関心、無垢な好奇心——が再び息を吹き返すことがあるのです。

老子の「柔は剛を制す」という教えは、まさにこの1on1の姿勢にこそ生きるのではないでしょうか。部下の“オトナ”部分を強化するのではなく、“コドモ”に耳を澄ますことで、失われかけたエネルギーが再点火される。それは命令や指導ではなく、沈黙と傾聴によってもたらされる、静かな再生です。

創造的な組織には“遊び”の余白がある

あるマネージャーは、部下のモチベーションが上がらないことに悩んでいました。

「どうしたら彼らがやる気を出すのか。インセンティブも用意しているのに」

私は尋ねました。

「部下が“やってみたい”と思うような“遊び場”はありますか?」

「仕事に遊び?」

と、彼は一瞬怪訝そうな顔をしました。

しかし、創造的な組織には、必ずといってよいほど“遊び”の余白があります。

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