「人が増えれば増えるほど不安になった…」 「磯丸水産」運営企業の傘下に入った、埼玉の人気つけ麺店。M&Aを受け入れた、意外すぎる理由

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中村さん自身の「職人回帰」も一因だった

狼煙 中村
「狼煙」が手がける「手揉み中華そば 中村」(筆者撮影)

中村さんは社長業をやる中で、日々の経営や書類・契約のやり取りなどに少しずつしんどさを感じるようになっていた。同時に「ラーメン職人に戻りたい」という気持ちがどんどん膨らんできていることを感じていた。

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「お店や会社を大きくするだけが幸せなのかと最近は感じるようになっていました。一人のラーメン職人として現場に立ってお客さんを喜ばせたいという、ラーメン屋としての原点に帰りたくなってきたのです」(中村さん)

中村さんはいずれ、また一からのラーメン店の開業を考えている。

「私は今44歳ですが、40代がゼロイチの立ち上げができる最後のチャンスだと考えています。

これは社長業をやりながらだとなかなか難しい。チャレンジできる最後のチャンスと捉えて頑張っていきたいと思います」(中村さん)

これからの個人店は、大手でできないことをやっていかないと勝てない時代だ。

大手に限らず、インスタントや市販品の味のレベルもどんどん上がっていく中で、職人が目の前で作ってくれるという価値がより大きくなっていくだろうと中村さんは考えている。

自分の育てた大きなブランドをしっかり残しながら、中村さんは個人店の価値をさらに追求していく。

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井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。東洋経済オンラインアワード2024にて「ソーシャルインパクト賞」を受賞。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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