ここで「枯れる」という言葉を使っていますが、これは文字通り、一般的に植物で使われる言葉です。子育ては、植物を育てることと似ていると考えています。「種にはDNAがあり、すでにどのような花が咲くか決まっている」「適切な環境がないと発芽しない」「光合成によって自分で成長を始める」など。子育ては植物の成長に置き換えるとわかりやすいものです。そこで「枯れる」というのはどのようなことか説明していきます。
植物を育てたことがある方なら、容易に想像できると思いますが、種には元々、芽を出し、葉を広げ、独自の花を咲かせる力が備わっています。ですが、どんなに素晴らしい種でも、水を与えなければ芽は出ませんし、強い日差しや乾燥した環境では、いずれ枯れてしまいます。
発芽できる程度の環境を用意し、後は光も当てていくと植物はぐんぐん成長しますが、それらの基本的条件がないと、「枯れて」いきます。
子育ても同じです。本来、その子の中には成長する力が備わっています。芽を出す力も、花を咲かせる力も。親がすべきは「無理やり芽を引っ張り上げること」ではなく、枯らさずに、育つ環境を整えるだけでいいのです。
子どもを「枯らす」親の特徴
これまで、筆者は36年以上、子どもの教育に関わってきました。その中から、子どもを枯らしてしまう親の特徴がわかってきました。
(補足として誤解がないように書いておきたいのですが、子どもを枯らそうと思って育てている親はほとんどいません。それよりも、伸ばそうという力が強すぎることで、結果として枯れてしまうケースがあるということです。)
「どうしてこんな点数なの?」「もっと頑張ってよ」
こうした声かけは、子どもにとって「否定された」というメッセージとして届くことが一般的です。
特に真面目な子ほど、「自分はダメなんだ」と思い込みやすくなります。短所の是正や圧力を与え続けることで成長する人は、聖人君子レベルのみです。それがわかっているのに、やってしまう親御さんが後を絶ちません。
なぜこのようなことが起こるかと言いますと、親の子どもに対する「これくらいできて当たり前」という期待値の高さが根本にあります。その期待の源泉は親のストレスや世間体という見栄、プライドにあることがほとんどです。
「だから言ったでしょ」「またそれ?」
つい言いたくなる気持ちはよくわかります。ですが、これは“意味のない余計な一言”です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら