「交渉決裂こそが真の狙い?」自動車関税の議論すら拒否するトランプ "見せかけディール”の巧妙な罠
日本との協議において自動車関税を交渉の対象外とするワシントンの公式な理由は、自動車関税が全ての国に対する世界的な関税の一部であるというものだ。日本に特別な免除措置を認めることはできないというのである。
一方、他の全ての品目に対する24%の「相互」関税は交渉可能であり、二国間の貿易不均衡を是正するために日本がどのような措置を講じるかによって、関税は引き下げられる可能性もあるとしている。
日本車のアメリカでの販売を減らしたい?
しかし、この公式の説明は、他の理由で採用された政策を正当化するための後付けの理屈にすぎない。真の理由は、どれほど交渉してもアメリカから日本への自動車輸出を大幅に増やすことは不可能だということにある。
なぜなら、デトロイトの自動車メーカーは、もはや多くの日本人が購入するような(あるいは多くのアメリカ人が購入できるような)車を製造していないからだ。実際、デトロイトのビッグスリーは、日本への輸出に真剣に取り組んだことすらない。トランプ大統領が25%の関税を無期限に維持しようとする背景には、こうした事情がある。
その疑念を裏付けるように、二国間協議が行われている最中に、トランプ政権は日本に対して奇襲とも言える措置を講じた。ワシントンは、アメリカに自動車を輸送する日本の船舶やその他の外国船舶に対し、自動車1台あたり150ドルの手数料を新たに課したのだ。これには、戦時や国家非常事態の際に米軍の輸送を保証する20隻の船舶も含まれる。
これまで、この罰則の対象となっていたのは中国の船舶のみであった。海上輸送される自動車の最大の輸入国は日本(410億ドル)であり、僅差で韓国(380億ドル)、次いでドイツ(260億ドル)が続く。メキシコ(500億ドル)とカナダ(280億ドル)からの自動車は、そのほとんどが陸路で輸入されているため、この新たな料金の影響は受けない。
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