「交渉決裂こそが真の狙い?」自動車関税の議論すら拒否するトランプ "見せかけディール”の巧妙な罠
アメリカ側の強硬姿勢が一段と増し、金融市場がそれに反応するにつれて、日本政府は危機感を募らせている。
その表れの1つとして、加藤勝信財務大臣がアメリカ財務省に対し、牽制とも取れる発言を行ったことが挙げられる。テレビインタビューで、日本が保有する1兆ドルを超えるアメリカ債を貿易交渉の道具として使う可能性について問われた加藤財務大臣は、過去の財務大臣が決して口にしなかったであろう発言をした。
彼はその考えを否定する代わりに、「そのカードを使うかどうかは、別の判断だ」と述べたのだ。日本政府が実際にそのような手段に出る可能性は低いと思われるが、加藤大臣のこの発言は、既に大きな変動を見せる金融市場に、新たな不確実性を加えることになった。日本政府はトランプ政権に対する市場の反発を、自らに有利な要素と捉えている。
トランプ大統領の真の狙いは何か?
トランプ大統領が貿易戦争を開始して以来、専門家の間では意見が分かれている。一方の見解は、天文学的な高関税は、関税や非関税障壁に関して他国から譲歩を引き出すための単なる交渉の道具にすぎないというものだ。つまり、他国が十分な譲歩を示せば、関税は引き下げられるだろうという考えである。
その根拠の1つとして、スティーブン・ムニューシン元財務長官が中国に対しても同様の交渉戦略を公言している点が挙げられる。
しかし、トランプ大統領自身は、ピーター・ナバロ通商担当上級顧問に強く影響され、関税は他国による「不公正な行為」を相殺し、アメリカの貿易赤字を削減し、減税の財源を確保するための「美しい」手段であるという、全く異なる見解を持っている。したがって、関税の一部は交渉の切り札として利用される可能性はあるものの、その多くは無期限に維持される可能性がある。
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