「ほっこりする」「こういうの欲してた」NHKドラマ『しあわせは食べて寝て待て』に癒やされる人が続出…“火曜夜の放送”が大正解だったワケ
「40(歳)を超えて先が見えてきた人間には、できない自分を認める能力のほうが必要な気がする」(青葉)
体によさそうなとろろご飯を食べながら語る青葉と麦巻になんかもう救われた。タイトルの『しあわせは食べて寝て待て』の「食べて寝て待て」も「ネガティブ・ケイパビリティ」と通じるだろう。

「な〜んて嘘だけど」の魔法
毎回、心がきゅっと締め付けられる局面もある。
そもそも、麦巻は体調的にバリバリ働けず、自由に使えるお金が少ない。実は過去の職場でモラハラに遭っていた。元気だったときは理不尽に立ち迎えたが、病気になったらその気力がわかない。かつての同僚の死を知り、まだ若く元気だと思っていた人が突然亡くなることもあるのだと痛感することもある。
数々のしんどさを、美山の明るさや、羽白の薬膳料理によって整えていく麦巻。やがて空き部屋を活用したレンタルルームを始める。レンタルルームに通う高校生の弓(中山ひなの)は、学校ではイジメを受け、家庭では居場所がなく逃げ場を求めていた。
これまでずっと他者の配慮に助けられるばかりだった麦巻が、今度は弓を気遣うようになる。
ネガティブな言葉が口癖になると厄介。言葉につられて気持ちまで落ち込む。だからネガティブなことを口にしたら「な〜んて嘘だけど」と付け足すといいと助言する。麦巻はうまくいかないことを体験してきた中で、そんなふうに前向きに生きることを考えるようになれていた。
建築会社に勤め、マンションを買おうと考えていた麦巻は病気によってその夢を断念したが、回り回って、レンタルルームを始めたり、団地の部屋を素敵にしつらえたり、迂回ルートで少しだけ夢に近づいているようでもある。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら