肝臓は”マンション一つ買える”金額も、≪海外で臓器移植≫に踏み切る切実な事情とは。選択肢のない患者に「座して死を待て」と言えるか

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臓器移植
多額の金銭を払って“海外で臓器移植”に踏み切る切実な事情とは(写真:AomOra/PIXTA)
治らぬ病を抱え、臓器移植の道を探る患者は多い。しかし移植用臓器は世界的に不足し、殊に日本ではまったく足りない。
例えば腎臓は国内で希望しても15年待ち。その間に多くの患者が死に至る。
いきおい患者は海外渡航移植の斡旋業者に接触。が、それは世界中ほぼ全面的禁止の臓器売買である確率がきわめて高い。手術は衛生状態さえ保証されず杜撰で、結果は一か八か。
貧しい国々の臓器を求め彷徨う患者と、数千万円を要求する業者。背後には国際組織。
そうした臓器移植のリアルを克明に記した新著『臓器ブローカー すがる患者をむさぼり喰う業者たち』より、一部を抜粋・編集しお届けする。

肝臓は「マンション一つ買える」額

難病患者支援の会を通じて、2013年に中国で移植を受けた患者を取材した。

「肝臓がんと診断され、医師からは余命半年の宣告を受けていました。こちらは命がかかっている。症状は日々悪化していく。いつ提供されるともわからない日本臓器移植ネットワークになんか頼っていられません。あの時、中国での移植を決意しなければ、今、私は生きていません」

日本臓器移植ネットワークによれば肝臓移植の待機期間は約1年といわれている。腎臓と比較すれば待機期間は短い。これは肝臓移植が必要な患者の余命は1年以内であり、それを過ぎると患者が死亡するケースが多くなるからだ。

肝臓移植を希望して日本臓器移植ネットワークに登録した4200人(累計)のうち、1744人(42%)が死亡している(2023年12月時点)。実際、年間100件余りしか移植手術はなされないのだ。そのために家族、親戚から提供してもらう生体肝移植に切り替えるか、あるいは海外での移植に希望を見出すしか術がなくなる。

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