村上総務相が看破する「地方創生」と「金権政治」に潜む根本問題 9000字ロングインタビュー【中編】
――小泉郵政改革は国民のためにならなかったということですか。
郵政改革自体の問題はさておいても、少なくともそのための郵政選挙で、1人ひとりの議員が自由に意見を出しにくくなってしまったのは問題だったといえるのではないかと思うのです。

裏金問題は自民党全体に緩みがあった
――小選挙区制度が導入されたのは、選挙にお金をかけないためではなかったのですか。
選挙にカネがかからなくなった理由は、1994年の公職選挙法改正で連座制を強化したことも大きいのではないでしょうか。
この年の2月の改正で連座による5年間の公民権停止が新設され、父母や配偶者および子どもや兄弟姉妹による違反行為については、執行猶予がついても連座の対象となりました。また同年11月の改正で、組織的選挙運動管理者等が連座制の適用対象となることが決まりました。
これで連座制による処罰の範囲がぐんと広がり、カネのかからない選挙になってきました。よって、もし中選挙区制度を続けていても、連座制が強化されていれば選挙にお金がかからないで済んだかもしれません。
確かに、安倍晋三政権以降、森友学園問題や加計学園問題、桜を見る会、旧統一教会問題、さらには一昨年末から大問題になった派閥の裏金問題が起きました。これらは、単に清和会の問題ということを超えて、自民党全体に緩みがあったのではないかと言われても仕方がありません。
これによって自民党は国民からの信頼を失い、昨年の衆議院選挙で大苦戦。ついに与党が過半数割れとなるまでに至ったのです。
アベノミクスの「3本の矢」にしても、長きにわたって「大胆な金融政策」や「機動的な財政政策」を行いましたが、その功罪についてはさまざまな見方があります。確かに雇用環境は改善しましたが、「投資を喚起する成長戦略」が経済成長につながったかどうかの評価には諸説あるということについては、直視しなければならないのではないかと思います。いまだに生産性を大きく高めるような成長戦略が出てきていません。
それでも、いまだに積極財政論を主張している人がいます。日本もかつてとは異なり、「金利のある世界」に入ろうとしています。はたして、これで日本の財政が維持できるのか、考える必要があります。
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