村上総務相が看破する「地方創生」と「金権政治」に潜む根本問題 9000字ロングインタビュー【中編】

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アメリカが経済成長してきたのは、移民によって労働力と頭脳を補給してきたことが要因です。もしこれまでの国力を維持しようというのなら、日本もそろそろ外国人労働者のさらなる活用について考えなければならないのでしょうか。ただし、優秀な労働力として外国人を受け入れるには、人権を保障するなど法的な体制を整える必要があります。

また、アメリカが成長を続けているのは、新しい産業がどんどん誕生しているからでもあります。製造業の工場を作らなくてもGAFAのような企業が生まれ、世界中から人とカネと資本を引っ張っているということです。同じことが日本でできるのかというと、悲しいかな、日本ではそういうことは難しいかもしれませんね。

自主・自立・自考の先に日本の未来がある

――なぜ日本ではGAFAのような企業が生まれないのでしょうか。

問題は教育です。欧米では中学や高校時代から、自分の頭で考える習慣を学ばせます。だから、独創性のある起業家精神が育まれ、チャレンジしやすい環境で新しい産業が生まれていく。

一方、日本の教育はそうした独創性を生み出さない。その差に気づいたのは、私が大蔵委員長に就任した1997年、日本版金融ビッグバンを目指し、日本が国際金融に乗り出そうとしていたときでした。欧米の人たちは日本人が思いつかないような金融商品を作ってくるのです。

そして、インターネットができたときに差がついたのです。日本は従来どおり、製造業で勝負していけると思っていたのですが、付加価値の大きさではどうしても負けてしまう。iPS細胞はすばらしい技術ですが、市場規模はGAFAには及びません。

そして、能力がある人は海外に出て行ってしまいます。大谷翔平選手は大リーグに行って大活躍しています。野球だけではありません。才能ある人材は、それを開花させるチャンスがある海外に流出します。

だから、日本が国家として成長を持続させるなら、まだ経済成長しているときに教育を変え、独創性を持つ人材を育成すべきだったのです。しかし、幕末の開国や戦後の復興などの勝ちパターンの経験から、このままで行けると思ってしまいました。その発想を変えて、有為な人材を生み出すことを考えなければならない。そうでなければ、日本は取り残されてしまいます。

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